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七十二候ものがたり

2018/05/11 ​蚯蚓出(みみずいずる)

mimizu

 

花壇というと大げさなのですが、お寺の境内に続く小路に沿って季節の花が咲くのを、おじいさんは大事に世話していました。何日か前からアザミが花をつけていました。おじいさんが、その根の周りの固くなった土を、小さな鍬でほぐしていると、
「おじいちゃん、何してるの?」
「おお、みよこか」おじいさんはしゃがんだまま顔を上げて振り向いて、「土をな、面倒みとるんじゃよ」
「土の? 面倒?」
「ああ、あまり手をかける必要はないんじゃが、ほんのちょっと助けてあげると喜んで元気を出してくれる」
「みよこも、やってみていい?」そう言いながら、みよこもおじいさんの隣にしゃがみました。
「やさしくな、あまり力を入れすぎんように」
みよこは、慎重な面持ちで、手にした鍬を土に近づけて、まず一度、ザク、もう一度、ザク、もう一度…
「待て、みよこ」
振り上げたみよこの手をおじいさんが止めました。
鍬にほぐれた土の中からミミズが這い出てきて、「うえ〜」とみよこ…

 
二十四節気”立夏”の次候
『蚯蚓出(みみずいずる)』〜 五月十一日から五月十五日頃

 

※ 絵 / 歌川芳員

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

※ 『七十二候ものがたり』を音声でお聞きになりたいこちら

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