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七十二候ものがたり

2018/08/23 綿柎開(わたのはなしべひらく)

wata

 

青い空にお日さまが傾きかけていました。土に映る自分の影の長さに、おじいさんはもう一度お日さまを見上げました。
お寺の階段をのぼりかけたところで、
「おじいちゃぁん!」みよこが走ってやってきました。
「どうした、みよこ、何かいいことでもあったか?」
「え? なんでわかるの?」
「なんでって、そんな嬉しそうな顔してたら誰にだってわかる」おじいさんは笑いました。
みよこは構わず、今日お父さんに連れていってもらった綿の畑の話をしました。
「綿の畑? あの、田んぼの南の畑のことか?」
みよこは、初めて見た綿の畑がとてもきれいだったこと、お布団や着物の綿が植物から採れるのを知らなかったこと、お父さんの他にも大勢村の人たちが集まっていたことをおじいさんに話しました。
「実がはじけて、白い綿毛がふわふわ顔覗かせてたんだよ!」
興奮して続けるみよこにおじいさんは、「そうか、綿はな、夏前くらいから黄色い花を咲かせて実をつけるんじゃが、もう綿毛を出しはじめたか」
話しながら二人はお寺の階段をのぼっていきました。
「今日はな、みよこ、暑さがおさまってくる処暑という日なんじゃ、相変わらずまだまだ暑いが、一旦気づくと、空がやけに青くて高かったり、影が長くなっていたり、夏とははっきり変わりだしている、綿の畑もその一つ、他にもこれからいろいろと見つかるはずじゃ、みよこ」

 

二十四節気”処暑”の初候
『綿柎開(わたのはなしべひらく)』〜 八月二十三日から八月二十七日頃

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

※ 『七十二候ものがたり』を音声でお聞きになりたいこちら

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