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七十二候ものがたり

2018/09/08 草露白(くさのつゆしろし)

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「ここにもないなぁ」とみよこは言いました。
お寺の庭を一緒に歩きながら、おじいさんを引っ張るようにみよこは端っこまで来ていました。そこから西に広がる草っ原を見ながら「ここにもない」とみよこは言うのです。
「何がないんじゃ」おじいさんは聞きました。
今朝みよこはいつになく早くに目が覚めて、外に出てみるとちょうどお日さまがのぼろうとしている時刻、「そうしたらね、周りじゅうがきらきらきらきら光りだしたの、うわぁって、なんだろうって思ったら、草とか葉っぱとかにちっちゃな水の粒々がいっぱいいっぱい、本当にそれがばぁって、一面白く見えるくらいに広がってるんだよ、すごくきれいで、もうびっくりしちゃって…」
しばらくすると朝ごはんに呼ばれてうちの中に戻って、食べおわったあとお母さんにも見せてあげようともう一度外に出てみると、さっきのきらきらは嘘みたいになくなっていました。それからみよこは、裏の畑とか田んぼの畦のほうとか、お日さまの光がいっぱい当たりそうなところをいろいろ見てまわったのだけれど、あの、白く広がる一面のきらきらはどこにもありませんでした。
「白露、じゃからな」おじいさんは優しい笑みを浮かべてみよこに言いました。
「はくろ?」
「夜の気温が下がるようになるとな、空気が冷えて草や葉っぱを露が濡らすんじゃ、こうして夏はだんだんと秋になっていく、とはいえ陽の光はまだまだ強いから、太陽がのぼると露はあっという間に消えてしまうんじゃよ」

 

二十四節気”白露”の初候
『草露白(くさのつゆしろし)』〜 九月八日から九月十二日頃

 

※ 写真 / so-sen

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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