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七十二候ものがたり

2018/09/13 鶺鴒鳴(せきれいなく)

hokusai_sekirei

 

「いつの間にか蝉が鳴かなくなったね」
みよこはお寺の縁側に腰を下ろし、足をぷらぷらさせながら空を見上げていました。朝のお日さまに青く澄んだ空はどこまでも高く晴れわたっていました。
廊下を挟んだ部屋の中では、おじいさんが書き物をしていました。障子は開いていました。
「蝉が鳴かなくなると、鳥の声がよく聞こえるようになるみたい」
みよこの言葉に、おじいさんも筆を止めて庭を見ました。たしかに、さまざまな鳴き声が行き交っているようです。
「おじいちゃん、あの声は?」みよこが言いました。
「あの声?」
「ほら、あれ、鈴みたいに可愛らしい声で、目立ってる」
おじいさんは目を閉じて耳を澄ましました。
チチチッ、チチチ…
「おお、鶺鴒じゃな」
「せきれい?」
「水辺にいる鳥なんじゃが、裏に沢があるからここまで来るのかもしれん、軒下とかに巣をつくることもある、尾っぽの長い鳥が飛んでないか?」
「あ、いた!」みよこは叫びました。「体は丸っこいのに、長い尾っぽパタパタさせて、なんか可愛い」

 

 

二十四節気”白露”の次候
『鶺鴒鳴(せきれいなく)』〜 九月十三日から九月十七日頃

 

※ 絵 / 葛飾北斎

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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