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七十二候ものがたり

2018/09/28 蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

hiroshige

 

おじいさんとみよこは、何枚もの紙を広げた座敷にいました。紙は、これまでおじいさんとみよこ二人で見つけてきた季節の区切りを一枚一枚記した紙です。改めて並べてみると、冬の小寒から始めて秋分まで、我ながら随分いろいろ見つけてきたものだと、みよこは嬉しくなってきました。
「何か気づくことはないか?」とおじいさんがみよこに聞きました。「冬から春、夏に向けて見つけた区切りと、段々これから季節が今度は冬に向かうにつれて反対の区切りが見つかりだしてるんじゃよ」
言われてみるとたしかに、春にツバメがやって来た「玄鳥至(つばめきたる)」に対してこの間の「玄鳥至(つばめさる)」、春分の頃「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」の区切りを見つけたけど、秋分の日にはその反対「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」を見つけて。
「どうじゃ、みよこ、他にも何かあるかもしれんぞ」
「これ、なんだったっけ?」
そう言ってみよこが指さした紙に書かれていた字は、「蟄虫啓戸」
「すごもりむしとをひらく、じゃな、たしか、庭の土からみよこがトカゲが出てきたのを見つけたときだったろう」
「そう言えば、トカゲとか、あんまり見なくなったよね」
「ん、夏にいっぱい見た虫たちが、そろそろ冬ごもりの準備を始めて姿を見せなくなる頃じゃのぉ」

 

二十四節気”秋分”の次候
『蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)』〜 九月二十八日から十月二日頃

 

※ 絵 / 歌川広重

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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