物語屋

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ものがたりの錬金術

2018/10/01 『お母さんに返しといて』雑感(想像力は創造力に通じる 2)

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初めは戸惑った。

 

普段「語り」をやるときに使うのは声とそれから言葉だけ、昔話でも神話でも怪談でも落語でも人のものがたりでも場所のものがたりでも、フォーマットはどうあれ基本的にそこは変わらない。

 

例えば男女二人の話を語るとき、その二人は実際にはそこにいない、それを、「声」と「言葉」を駆使していかに二人が動いたりお喋りしたりしているように感じさせるか、それが、語り。

 

例えば夕方の空を語るとき、その空は実際にはそこにない、それを、「声」と「言葉」を駆使していかに傾きかけた陽と赤く染まった雲を感じさせるか、それが、語り。

 

「語り」はだから想像力を刺激する「語り」でないと「語り」にならない、というか物語屋はどうやったらこれができるかだけを目指して「語り」の修練を続けてきたし今もしていると言っても過言でないくらい、なのだけれど、

 

それが、映像は、何ともあっさりと最初から「見えて」しまっているのだ。

 

男女二人を撮るときその二人は実際にそこにいるし、夕方の空を撮るとき赤い陽も雲も実際にそこにある、

実際にはないものをあるように想像力を刺激するのが普段の「語り」でやっていることだとすれば、じゃあ実際にあるものすでに見えてしまっているものを、どうすれば…

 

映画の監督のお話をいただいたのはいいが、初めのうちこの戸惑いが頭から晴れることはなく、

それが、あるとき突然、「あ」、と晴れた。

 

「同じだ…!」

 

そう、映像も、同じ、だった。

実際にあるからといってあるものをあるまま映像にしては、ダメなのだ、

実際にはあるけれどいかにそれを映像の外に残しておくか、

映像にはあえて切り取らないものをいかに「見える」ように映すか、

 

想像力の刺激

 

「語り」でやることと何ら変わることはなかった。

このことに気がつけたあとは、撮影も編集も、俄然楽しくなった。

 

カメラマンの方を初め、映画監督一年生の物語屋を「ここ」に導いてくれたスタッフ並びに出演者の皆さま、本当にありがとうございました。

 

はけショートフィルムプロジェクト『お母さんに返しといて』、

おかげで、ようやくもうじき、完成します。

 

※ 『お母さんに返しといて』完成披露試写会のお知らせはこちら

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