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七十二候ものがたり

2018/11/27 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

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用事で出かけた先から帰り道、おじいさんは村の入り口にさしかかりました。
ぴゅー、と冷たい風が吹いてきて、思わず襟を立てて身を屈めます。
脇に立つ木も葉を落とし、土手のように高くなっている道はほとんど吹きっさらしになっていました。
「木枯らし一番かのぉ」とおじいさんは呟きました。
少し先の草っ原で、子どもたちが走り回って遊んでいます。
「おじいちゃん〜」
子どもたちの一人が走ってきました。
みよこでした。
「この寒空の下、元気だなぁ、みよこ」おじいさんは言いました。
「葉っぱがさ、風でぱらぱらあちこち飛んでいって、でもなかなか下まで落ちてこないんだよ、みんなで追っかけてたんだ」
おじいさんは「よしよし」と頷いて、「寒い風が吹いたらその風の中でしか楽しめないことを楽しむ、それができるのは何よりじゃよ、みよこ、春のお花見、秋の紅葉狩り、そして冬には枯野見といって葉の落ちた野原の景色を楽しむ言葉もあるくらいでな」
向こうから子どもたちがみよこを呼びました。
「ごめん、おじいちゃん、あたし行くね」
走りだしたみよこは途中でおじいさんを振り向き、「おじいちゃん〜、地面に落ちた葉っぱがさ、サクサクっていうかフワフワっていうか、その上走るのも面白いねー」
そのときまた、ぴゅー、と冷たい風が吹いてきて、空に舞う葉を追いかけていくみよこを、おじいさんは優しく見つめつづけました。

 

二十四節気”小雪”の次候
『朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)』〜 十一月二十七日から十二月一日頃

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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