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七十二候ものがたり

2018/12/02 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

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「なんだ、おじいちゃん、ここにいたの?」
お寺の庭に入ってきたみよこが、はじめ本堂のほうで声をかけたけど返事がないからこっちに回ってきたと言いました。
庭掃除をしていた箒を止め、じっと立ち尽くしているおじいさんに、みよこは、何を見てるの? と、おじいさんが見ている先を自分も目で追いました。
「あ、蜜柑」
池の向こうに立っている橘の木に、黄色く色づいた実が揺れていました。
「みよこ、あれは橘の実じゃよ」
おじいさんが言うのを聞いて、みよこは思わず笑いました。
「なぜ笑う?」
「だって、おじいちゃん、なんだかホントにありがたそうに言うからさぁ」
みよこの言葉に、おじいさんも笑いだしました。
「ありがたいんじゃよ、みよこ、何と言っても橘の実は、古い古いわしらのご先祖さまが、遠い遠い神さまの国から持ち帰った、それはそれはありがたい実なんじゃから」
言いながらおじいさんは、もう一度池の向こうの橘に目をやって、「鏡餅の下にあの葉を敷いて、上にはあの実を置いて、みよこ、もうじき正月がやってくるぞ」
するとみよこが、「お正月の鏡餅!? それならみよこもありがたい!」

 

二十四節気”小雪”の末候
『橘始黄(たちばなはじめてきばむ)』〜 十二月二日から十二月六日頃

 

※ 紋 / 丸に橘紋

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

※ 『七十二候ものがたり』を音声でお聞きになりたいこちら

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