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七十二候ものがたり

2018/12/07 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

 

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「色が、ないね」
縁側から空を見ながらみよこが呟きました。座敷で手紙を書いていたおじいさんが、「ん? 何がないって?」と聞くと、
「空がね、雲だらけっていうか、沈んじゃってる? んんん、違うかな、塞がっちゃってる? でも雲が空塞いでるのかもよくわからないくらい、ぜ〜んぶ、色がないの、冷たそうで、重たそうで…」
縁側に出てきおじいさんは、みよこの言う「色のない空」を見上げました。
「雪曇りじゃな」
「ゆきぐもり?」
「今にも雪が降りそうな空のことじゃよ」
「ふぅん」とみよこは庭を見回し、「もう、木の葉っぱもほとんど残ってないね」
「知り合いから手紙が届いて、北の国ではいよいよ本格的な雪が始まってるらしい、色がないというのはいいところに気づいたな、みよこ、今日から季節は大雪じゃ、色がない空は大地の気が塞がっていく表れ、いよいよ冬のはじまりじゃよ」
「でも、雪が降ったら、色がないなんてことはなくなるね」
「…どういうことじゃ?」
「だって、白い色がつくでしょ、みよこ、雪の景色も大好きだよ」
みよこの言葉におじいさんは嬉しそうに頷きました。
「そうじゃな、じいちゃんも大好きじゃ」

 

二十四節気”大雪”の初候
『閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)』〜 十二月七日から十二月十一日頃

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

※ 『七十二候ものがたり』を音声でお聞きになりたいこちら

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