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七十二候ものがたり

2018/12/12 熊蟄穴(くまあなにこもる)

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夕方、おじいさんがお寺の階段の下で掃き掃除をしているところに、みよこがやってきました。
「最近、なんかつまらないんだよねぇ」
「みんなで遊んできたばかりなんじゃろ? 楽しくなかったのか?」
みよこは首を振り、「そうじゃないの、楽しかったけど…」と言って、冷たく暗く夜に向かう冬の夕方の空を見上げました。
「空にもさ、あんまり鳥が飛んでないでしょ、いつの間にか気がついたら虫も全然いなくなっちゃったし、ここのところなんだか猫とかも見なくなっちゃって、みよこ、鳥とか虫とか動物とか好きだからさ」
おじいさんは「なるほど」と頷き、「山の熊も冬ごもりをする時期じゃ、雪が食べ物を隠してしまうからなぁ」
おじいさんの言葉を聞いて、雪に覆われた山の穴にこもっている熊の姿を思い浮かべているのか、みよこはしばらく目をぱちくりさせてから「いつまで?」と聞きました。
「それはもちろん春までじゃよ、だがな、ただこもるだけじゃないぞ、この冬の間に熊は子どもを産んでゆっくり子どもに乳をやって育てる」
「へぇ、そうなんだ」
「冬はそういう時期でもあるんじゃ、なぁみよこ、雪の冬山で仲良く寄り添っている熊の親子を思い浮かべると、それほどつまらなくはないじゃろ?」
また遠い目をして雪山の熊の親子に思いを馳せるみよこに、冬の夜が駆け足にとばりを落としました。

 

二十四節気”大雪”の次候
『熊蟄穴(くまあなにこもる)』〜 十二月十二日から十二月十六日頃

 

※ 絵 / 山本桃谷

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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