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七十二候ものがたり

2018/12/22 乃東生(なつかれくさしょうず)

乃東生(なつかれくさしょうず)

 

「ついさっきお昼だったのに、もうあんなところに」
みよこが「あんなところに」と指さしたお日さまは、秋分のとき二つの山の真ん中に沈んだ西の空から、随分と南にずれたところに弱々しく浮かんでいました。
「なんか、寂しい光…」
「今日はな、お日さまの光が一年で一番弱くて短くなる冬至なんじゃよ」
おじいさんはそこで少し言葉を区切り「だがな」と続けます。
「冬至が来たということは、お日さまが弱まるのは今日まで、明日から今度は少しずつ元気を取り戻しはじめる、そういうありがたい区切りだとも言えてな、これを一陽来復と…」
「おじいちゃん」
みよこが、お日さまを指していた指で今度は草はらを指しました。
「草とか木とかほとんどみんな枯れてるけど、あそこに、あの緑色って、新しい草だよね?」
おじいさんはみよこのいう「新しい草」を見やりながら、「みよこ、今とは反対に夏の盛り、夏至のときに見た草の話を覚えているか?」
「ええと…夏に向かって周りの緑がどんどん濃くなってくなかで枯れていく草もあるっていう、あれのこと? たしか…ウツボ草!」
「そう、夏には枯れるウツボ草、別名『なつかれくさ』が芽を出すのは今なんじゃよ、草も木も枯れて光も一番弱くなって、冬が極まったところで新しく生まれてくる、まさに冬至にぴったりの草かもしれんなぁ」

 

二十四節気”冬至”の初候
『乃東生(なつかれくさしょうず)』〜 十二月二十二日から十二月二十六日頃

 

※ 絵 / 『本草図譜』から

 

※ おはなしのフルバージョンは仕立てとおはなし処Dozoでどうぞ(詳細はこちら

 

※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら

 

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