物語屋

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ものがたりの錬金術

2019/01/29 「残る」こと

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記憶に残る体験というものがある。

 

クランクインは晩秋、クランクアップは初冬。
朝の早い時間に白い息を吐きながら集合し、

夕方終わる頃になると待機時間の女優さんはダウンコートを羽織り、

とにかく、かなり寒い思いをしながらの撮影だった。

 

毎日のように厳しい寒さが続く今、ふとあのときのことを思い出し、

あれから過ぎた月日が一年を超えていることに少しびっくりしたりする。
一瞬、ついこの間、年が明ける前の話だったように思えてしまうのだ。

 

きっと記憶は、時間の近さよりも濃さによるところが大きい。

 

昨日あったことさえ忘れがちで周りに始終かける迷惑の言い訳をしたいわけではないが、

一年以上前の記憶がそれこそ昨日のことのように残っているのは、

この映画の撮影中に流れた時間の濃さゆえなのだろう。

 

野川から見上げた高架の電車、
主人公が漕ぐ自転車をやってはいけない方法で追いかける撮影隊、
スマホで連絡を取りながら待つバスが顔を覗かせてくる曲がり角…
どれもこれも今でもはっきりとまぶたの裏側に蘇らせることができる。

 

願わくば、それらすべての結果として映画になった1シーン1シーンが、

観る人たちの記憶に同じくらい残ることを。

 

そして、物語屋を名乗るからには、

台詞についても一つ一つ残る言葉を選べていると嬉しい。

 

それにしても、
ビジュアル、言葉、それから音楽…
やはり映画は改めて総合芸術で、
「いつか自分でつくった話を自分で監督してみたい」と、

毎日のように見まくっていたいわゆる名作から超B級映画に至るまでのあれやこれやが、

今回の映画のあちこちに(20年以上越しに 笑)やはり「残っている」けれど、
まぁ、それについては、

わかるのは本人だけで、きっといい。

 

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